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健康コラム ◀ 2/316 ▶

Vol.316 その症状は老化？それとも病気？～どちらも予防する「補腎」の力～

「その不調は、年のせいですね」と言われることありませんか？

頻尿や耳鳴り、疲れやすい等。病気なのか老化現象なのか、両者の境界の判断が難しいことも多いですが、白髪やシワが急に増えた、疲れやすいなどの場合、甲状腺機能低下症や貧血、ホルモンバランスの乱れなどによるものだったというケースもあります。老化現象だと思っていたら病気だった、ということも珍しくありません。それとは逆に検査しても異常はでないのに体がつらいという場合、「治療の方法は特にないです」と言われることも多いはず。しかし、漢方では内臓機能を高め、老化に伴う症状の緩和を目的のとしたお薬があります。

東洋医学では、正しい予防で老化の進行を緩やかにし、健康を保てると考えます。そして、穏やかに老化を迎えるためにも重要なアプローチが「補腎（ほじん）」と「活血（かっけつ）」です。東洋医学でいう「腎」は、西洋医学でいう腎臓にとどまらず、生殖、発育、老化、ホルモン分泌、骨の産生、髪の毛の状態に至るまで老化と深く関わる存在であり、漢方にはこの「腎」を強化するお薬があり「補腎薬」と呼びます。体質や症状に応じて数ある中から選んでいきます。

腎は生命の根本であり、寿命を左右するといわれています。腎に蓄えられている栄養が減ると体全体の活力が失われ、老化が進むと考えられます。特に、骨や髪、歯、耳などが弱るのは腎の働きの低下のサインです。また、現代医学でも腎臓の健康が寿命に大きく関わることが分かっています。腎臓は体内の老廃物を排出し、血液をきれいにする役割を持っています。腎臓の機能が低下すると、体内に毒素が溜まりやすくなり、健康寿命が短くなるリスクが高まります。

腎は冷えに弱い臓器なので、特に腰や足元を温めることが重要です。腹巻や湯たんぽを使ったり、足湯を取り入れたりするのがお勧めです。冷たい物を口にすると腎の働きは低下し、老化が進むことになります。寝不足や過労なども腎の機能低下につながるため日々の養生が重要になります。

もう一つの「活血」は体の隅々まで血管を巡らせること。人の体の血管のうち99％は毛細血管。細い血管の血流が滞れば栄養も届かず老化や体の不調の原因になります。漢方は毛細血管の血流改善を得意とします。

腎を補い、血を巡らせる。その視点を持って日々養生をし、漢方をうまく生活に取り入れることによって老年期だけではなく更年期においても不調の予防・改善が期待できます。