桃とさくらんぼをいただきました。
どちらも旬の今しか食せないものですね、大好きです。

薬膳では食べ物は、寒・涼・平・温・熱と、５つに分類されており、果物はほとんどが寒性か涼性の体を冷やすものが多いのですが、桃とさくらんぼは温性で温めます。

桃は補気薬に分類されます。その働きは、
性味：温、甘、酸／帰経：肺、肝、胃、大腸
�@　益気生津‐気を補って体液を増やす（疲れ、ほてり、寝汗）
�A　養陰潤燥‐潤いを与え乾燥を改善する（腸の乾燥による便秘など）
�B　利肺鎮咳‐肺の気を高め咳を鎮める（冷えによる咳や虚労の咳など）
�C　破血消積（桃の種）‐血の滞りを改善し、生理痛・腹痛改善

酸味と甘味の組み合わせは、酸甘化陰といい、体液を増やし体に潤いをもたらせる働きがあります。果物類には酸味と甘味を持つものが多いので、暑い時期やスポーツ時などによいですね。
桃の葉にはあせもやかぶれ、発疹に効果があるとされ、ローションや入浴剤などに用いられることもあります。
桃の種は桃核（とうかく）または桃仁（とうにん）といわれ、漢方薬として用いられるのは主に種です。
活血（かっけつ）といい、血液の流れをよくする働きに優れているので、血液の流れが滞ることによる起こる諸症状に用いられます。

さくらんぼは祛湿薬（きょしつやく）に分類されます。
祛湿とは、体にたまった余分な水分を排泄する働きのことを指します。
ジメジメとしたこの時期にぴったりですね。
その働きは、
性味：温、甘／帰経：肝、胃、腎
�@祛風徐湿‐体にたまった余分な水を取り除き、主に関節や筋肉の痛みによい
�A補中益気‐胃腸の気を高め、食欲不振や疲れやすいなどに
�B潤膚‐皮膚に潤いをもたらす

胃腸が弱いと顔色が黄色くなります。胃腸の弱い方の黄色みがかった皮膚を萎黄といいます。さくらんぼは胃腸の気を高め、また、皮膚に潤いをもたらす働きがあるため、食すとさくらんぼのように顔色がよくなるといわれます。
体にたまった余分な水分は取り除くけれども、乾燥しているところは潤す、一方方向ではないところが自然のもののもつ力ですね。

不妊相談で順調に妊娠された症例をご報告します。
35歳女性。7年前に多嚢胞性卵巣症候群と言われ、ずっとピルを服用していたそうです。
妊娠したいとの思いから、今年1月にピルをやめたものの、自力で生理が来るのか？そもそも排卵はあるのか？と不安になりご相談に来られました。

＊基礎体温がとてもきれいに整っていく様子が分かるため、ご本人様の承諾を得て掲載させていただくことにしました。

始めて来られた時の舌は、赤く、裂紋（切れ目のようなもの）があり、苔がない陰虚の強い状態でした。ＬＨ、ＦＳＨがやや高め。寝汗あり。冷えあり。不安感が強い。3種類の漢方薬を組み合わせて提案しました。
漢方服用開始と同じタイミングで生理が来ました。低温期が長く、高温期が短い状態で、42日後に生理。
漢方服用から2回目の生理周期では低温期が2週間ほどになり、高温期も伸びてきました。
舌の苔が増え、裂紋もよくなってきました。強かった不安感もよくなり、疲れが以前より良く、朝起きるのが苦ではなくなったようです。冷えも少し良いとのことでした。
少し処方を変えて飲んでもらい、1か月後、ストレスは強いものの、精神的にだいぶ安定し、寝汗も減りました。前回よりも舌の苔が増え、ちょうどよい厚みになりました。
その１か月後、低温期がやや高いものの、高温期が14日に伸び、排卵期あたりにおりものが出るように。
この周期に妊娠が判明。自然妊娠でした。現在では心拍も確認されています。
ご来店の度に笑顔が増え、実はとても面白い方だったということが判明。会話が楽しくつい話し込んでしまいます。
当初、当店に相談に来ようと思っていたころは、この先どうなるんだろうと不安でいっぱいだったため、こんなに順調に妊娠するとは思ってもみなかったようで、陽性反応がでたときには驚きのあまり検査薬を2回試したとおしゃっていました。
よかったですね！この先も順調にいきますように。

漢方と食養生で体作りをし、妊娠され、無事ご出産されたお客様よりお手紙をいただきました。
相談当初はお腹、お尻、足の冷えが強く、舌をみると真っ白。苔は正常なのですが、舌質といわれる舌のベースの色味が全くない状態で、紫斑もあり冷えとお血（血液の滞り）がみられました。平熱も35.5度と低く、高温期が8日と短い、子宮筋腫がたくさんある、状態でした。

漢方を始めて1か月で舌に赤みがでてきました。
半年経つころには冷えはだいぶよくなり、舌もより良い状態に。高温期も伸びてきました。
妊娠が分かったのは漢方スタートから7か月目のことでした。
妊娠報告をして下さった時の嬉しそうな顔は今でも覚えています。
私も、何度経験してもこの瞬間は嬉しくてたまりません。

私たちの次男と同じ出産予定日ということもあり、親近感があっていつもいろんな話をし、どちらが先に産まれるだろうね〜などと話していましたが、この方は予定よりも3か月早く出産となり、しばらくは絞った母乳を毎日病院に運ぶ日々だったそうです。
いつもにこやかで明るい方ですが、その表情の裏では大変な日々だったのではないかと思います。
少し早く産まれたけれど、順調に育ち、とにかくよく食べる元気なお子さんだそうです。
写真は年末にお子さんを連れてお店に来てくれた時のものです。
とっても人柄がよくて素敵な方ですが、予想以上にすっかり素敵なお母さんの顔でした。

『「ブヘサ　中村固腸堂」のブヘサって何？固腸堂って何？』と、よく聞かれます。
ブヘサは明治初期に固腸堂を開業した中条武平翁の名前から、屋号として呼ばれているものです。
武平翁は京都で御典医をしており、下痢止めの固腸散などさまざまな薬を開発し、海外でも販売されていたようです。
とりわけ下痢によい「固腸散」がとてもよく効く薬と評判だったようで、第二次世界大戦後の戦士の遺稿の中にも「軍から配給される薬より、隊長が分けてくれた固腸散の方がよく効いた」と残されていることを父の知人が教えてくれ、実際に記載されている書物を目にしたことがあります。

もう何十年も前に製造されなくなってはいるのですが、今でも当時を知る方々が「ここブヘサさんやね？固腸散ある？」と買いに来られます。
そのような時は代わりの漢方薬をお渡しします。

もう、固腸散の商品自体がないのですが、先日我が家の薬箱の奥から唯一残っていた固腸散がでてきました。懐かしいです。
私が5歳くらいの時に、母と祖父が天秤を使って薬をはかり、それを薬包紙に包んで、組み立てた箱に収める、という作業を傍らで見ていた記憶がしっかりと残っています。
祖父は私が6歳の時に他界し、数年後に固腸散は製造中止となりました。
とっても優しい祖父だったことを覚えています。当時を知るお客さんにも、「あの人は困っている人を助ける懐のでかい人やった」と祖父の人柄を聞くことが多く、死後何十年も経つのに、頼ってくる方がいることからも祖父の存在を実感します。

また、古いものしか置いていない倉庫を壊すこととなり掃除した際、昔の看板も見つけました。これを捨てるのはもったいないと、持ち帰り、いつか店頭にでも生かせないかと模索中です。その際武平さんの写真も発見。

それぞれを目にすると、気持ちが引き締まりますね。

私の漢方（正確には中医学）の恩師である猪越恭也先生と初めてお話させていただいたときに、『「固腸堂」とは、腸を固めて下痢を鎮め、胃腸を強くするという意味だね。五臓の中心は胃腸にあり。とてもいい店名だね。』と言っていただき、恥ずかしながらその時初めて店名のことをちゃんと考えたかもしれません。

スギナは春になるとあっという間に増え、根が深いためなかなか手ごわい雑草です。
生命力が強く、コンクリートの隙間からでもグイグイ伸びてきます。
我が家でも家の周りや砂場にまでわさわさと生えていて、つくしの段階では「ああ春だね〜かわいいなあ」と眺めているのですが、スギナになってくるとその恐ろしいほどの繁殖力に、いそいそと草むしりを始めます。

しかし、少し嫌われ者のこのスギナも、薬草の一つで優れた薬効を持ちます。
生薬名は問荊（もんけい）といいます。
普段私たちはあまり用いることはありませんが、主に民間療法としてよく用いられているかと思います。

利尿作用があり、体にたまった余分な水分を抜く働きがあります。
むくみやすい方やこれからの湿度の高くなる時期にもよいですね。
その他、咳止めの働きや清熱作用、腎臓や膀胱系のトラブルにもよいとされます。

農薬など使われていないスギナをきれいに洗って乾燥させておけばスギナ茶の出来上がりです。

当店にもう3年ほど通っているお客様と話していると、
「そもそも固腸堂に来たきっかけは、働いていた病院でこの店がすごく噂になってたからよ」と、とても気になることをおっしゃいました。

その方は看護師さんなのですが、どうやら、その方が働いていた病院で、紫斑病を患っている患者さんが、当店で漢方を始めた途端にとても良くなったという噂が病院内に広まっていたそうです。また、その方以外にも何人かの患者さんが当店に来られて症状が良くなったということが続いたそうで、すごく話題になっていたそうです。

嬉しいですね。
畑は違えど、医療従事者の方たちの中で話題にあがるというのはとても嬉しいことです。

ちなみにその方は便秘で、病院で出される「プルセニド」は下痢するから、きれいな便を出したい！ということで当店にご相談に来られました。下剤を使わずに自力できれいな便がでるようになり、以来ずっと継続されています。

決して近くはないこの距離をはるばる来て下さることにありがたい思いです。
能登や富山、加賀や福井からはるばる来られるお客様も多くいらっしゃいます。自分が能登や加賀のほうに実際に行くと、いつもこの距離をうちのお店に来るために通っていらっしゃるのか〜と実感し、わざわざ当店を選んで来てくださることにありがたい思いと、なんとかよくなりたいという気持ちをしっかり受け止めていこう、という思いになります。

常々、金沢の中心部にお店ださないのですか？この1店舗しかないのですか？とよく聞かれますが、この田舎町で明治に開業し、それからずっとこの町で代々このお店だけで営業しています。

今ではネットでなんでも手に入る時代ですが、私たちは直接顔をみて、世間話やたわいもない話をしながら信頼関係を築いていくお客様との関係性を大切にしたいと考えています。よく顔を合わせていると、顔色が悪いね、なんか元気ないね、やせたね、と体の変化には気づくものです。誰かと「話す」、それだけでも気が巡ることありますよね。
小さなお店ではありますが、自分たちの思いのつまったこの店で、わざわざ足を運んでくださる方々とのつながりを大切にしていきたいと思っております。

先日の話しです。
若い体格の良い男性がお店にふらっとご来店され、
「今度県の大会に出場するんやけど、精神を安定させる何かいいサプリありますか」
と問われ、
「ウチは漢方薬専門なので漢方由来のものであればご提案できますが」
と伝え「牛黄」を紹介しました。

「牛黄」は、かの水戸黄門さまの印籠にも入っていたことでも知られており、古来より疲労、動悸、不整脈、風邪、発熱など広い意味での「救急薬」として使われてきました。
また鎮静作用にも優れているので、脳が興奮して眠れない、旅先で寝付きにくいといった方などにもお勧めの漢方です。

お客さんは「妻とも相談して、一度検討してみます」と言って、その場では購入せずにお帰りになりました。その日の閉店間際に、その男性がもう一度来店され「一度飲んでみたい」ということで、とりあえず２日分をご購入頂きました。

数日後、その男性が再度来店され「何かいい気がするので、もう少し飲みます」と言われ、試合が近いということもあって試合の２〜３日前からと当日の朝と競技前に服用することをお勧めしました。

それから数日経った一昨日、その男性がまたもやご来店され、満面の笑みを浮かべながら開口一番

「優勝しました！！」

と言い、堅い握手を求めてきました。
その勢いに圧倒されながらも「良かったですね！！！」と応え、

「次は全国大会があるので、その時も牛黄必ず飲みます！」

と言ってその男性はお帰りになりました。

「飲むと、とても気持ちが落ち着いて堂々とできた！」とおっしゃっておりました。
緊張すると心臓がふわふわして喉から出そうな感覚に襲われますが、牛黄は心臓の位置が定位置に落ち着き、頭がすごく冴えて冷静に物事を考えることができるようになります。

何とも爽快で清々しいその姿に、まるで自分が牛黄を飲んだかのような元気をお客様から頂けたような体験でした。

是非とも全国で良い結果を残して欲しいものですね！

先日、北陸朝日放送の番組「２時はどきどき５ch」より受けた取材の放送日が６月１４日（火）に決まりました。
今回のテーマは「梅雨」です。
梅雨の湿気が原因で引き起こす「めまい・頭痛・関節痛・吐き気・下痢」などについてお話しします。
是非ご覧になってくださいね。

http://www.hab.co.jp/2doki5/